神経因性膀胱とは、神経系の異常によって、尿が出にくくなったり、尿の回数が多くなってしまう病気の総称です。
原因
脳梗塞やパーキンソン病、認知症などの脳や神経の病気や、脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折などの背骨の病気、抗精神病薬でなることがあります。
症状
以下の症状がみられます。
- 排尿困難
- 頻尿
- 切迫性尿失禁(我慢できずに漏れてしまう)
- 溢流性尿失禁(尿をうまく出せないため、膀胱に尿がたくさんたまってしまい、尿が漏れてしまう)
検査方法
超音波検査や尿流検査、膀胱機能検査などが必要です。
膀胱機能検査は、より専門的な検査なため、総合病院や大学病院でしかおこなえません。
当院では、超音波検査や尿流検査をおこない、必要であれば、総合病院への紹介をおこなっております。
治療方法
治療方法は、症状によって様々です。
排尿困難の場合
超音波検査で残尿が多いときは、尿を出しやすくする薬(男性:タムスロシン、シロドシンなど。女性:エブランチル)を処方し、残尿量が少なくなるようにします。
自尿が少なく、残尿量が多い場合には、間歇的自己導尿(CIC)や尿道カテーテル留置をおこないます。
頻尿、切迫性尿失禁の場合
神経障害によって、膀胱が過敏になっている場合には、膀胱をリラックスさせる作用のあるお薬を処方します。
超音波検査で残尿の量をみながら処方を調整していきますが、ベタニス、ベオーバなどのβ3刺激薬、ソリフェナシンやフェソテロジンといった抗コリン薬を処方します。
残尿の量が多いタイプの頻尿にはタムスロシン、シロドシン、エブランチルといったα-1 blockerを処方し、頻尿が改善するかをみていきます。
溢流性尿失禁の場合
膀胱の機能が弱っていて、弾力性がない状態となっています。
伸びきった風船のような状態で、膀胱を安静にさせることが大切となります。
そのため、尿道カテーテル留置や間歇的自己導尿(CIC)が必要となります。
尿道カテーテルや自己導尿と尿を出しやすくする薬を併用しながら、膀胱の機能が改善するかをみていきます。
医療関係者の皆様へ
当院では神経因性膀胱に対するボトックス膀胱壁内注入療法や定期尿道カテーテル交換、間歇自己導尿をおこなっております。
遠方のため、通院が困難な方やお困りの方がいらっしゃいましたら、当院へご紹介ください。